2018年08月20日

「ネコ型人間の時代」と「ティール組織」



 太田肇・同志社大学教授の著書「ネコ型人間の時代」に書かれている
 これからの自律的な社員像と、
 何度か取り上げている「ティール組織」での、働き方、働かせ方には
 かなりの共通点が見られるように考えています。

 太田教授が、ずっと言い続けてきた個人を大切にした組織マネジメントと
 海外輸入の「ティール組織」に共通点が多いことは、
 きっと、人間本来の働き方として、もっとも望まれるものだからだと考える。


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 まったく別の本だが、最近読んだ本の中に、
 「育児は仕事の役に立つ」というものがあります。


 これまで、子育てはビジネススキルの獲得に寄与する研究では、
 私自身、先駆的な調査活動をしてきたと思っていましたが、
 意外に盲点でした。まさか中原先生も共著者となって、書籍発刊されていたとは。
 
 その内容は、中原教授の先行研究を踏まえ、子育ての4つの見地から
 どのような子育て経験が、どのような能力向上につながっているのかを
 分析したもので、特に「チーム育児」がマネジャーに求められるような
 スキル形成に寄与しているというものでした。

 私の調査研究と重なる部分ももちろんありますが、
 私の調査研究では、仕事と育児のシナジー効果や、
 実践知の形成の観点から進めている点に、少し違いがあるのかなと感じます。
 しかし大変参考にすべき書籍であり、できればアプローチして
 知見を学ばせていただきたいと思っています。

 いずれにせよ、本当の研究者が実証的に「育児の仕事スキル形成」の
 効果に太鼓判を押していることが発見できて、自分の調査研究の方向性が
 間違っていなかったことを再認識できたことは、大変嬉しいです。励みになります。
 
 今後も引き続き、育児等の社会活動がマネジメントスキル(実践知)の形成に
 効果的であることを、考え、そして社会で生かせられるように情報発信していきたいと
 考えています。


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Posted by 藤井哲也 at 09:51Comments(0)情熱(私の思い)

2018年08月06日

子育てはなぜ学び(実践知向上)に必要なのか?



 子育てや家事などのケア領域業務、または地域活動などの
 一見ボランティアのように考えられることが、
 なぜ学び(実践知向上)につながるのか?
 
 この記事までにも実証分析を交えながら説明してきましたが
 システム思考に立って図式化したいと思います。

 なおこの図式化は、「2017年度Amazon2017 ベスト・サイエンス賞」
をとった「Learn Better」(アーリック・ボーザー、2018、英治出版)の
内容を自分なりに解釈し参考にしたものです。






 学びには、アナロジー(類推)が必要です。
 著書の中でも「アナロジーは発明の母と言ってしかるべき存在とも考えられる。
アナロジーは意外なつながりを創り出す手段であり、創造の歴史を振り返って
みればアナロジーは至るところに見られる。ヨハネス・グーテンブルグはワイン
造り用のブドウの圧搾機を見て印刷機を発明した。ライト兄弟は世界初の
飛行機を造るために鳥を研究した。ツイッターはテキストメッセージとソーシャル
メディアを合体させたようなものだ」(同著258頁)
 
 そして毎日同じことをやっていては、類推もなかなか育ちません。 
 普段とは違う不確実性の中にあってこそ、成長できるのです。
 
 この不確実性は、多様な経験であるとも私は考えます。
 だからこそ、仕事一筋ではなく、仕事も家庭も、または自分のキャリアも、
趣味や社会活動も重要で、多くの場合、問題解決に至るアイデアは、
そうした仕事以外の場で想起されたり、その萌芽が生まれることになります。
もちろん仕事に活かすことができる能力そのものも向上させることができる
はずですが、それらは学びの概念の中でいうと、「関連付けられ」、「知識として
定着する」からだと言えます。

 そして最も大切な事柄は、仕事以外の事柄についても、
前向きに、自分の成長のために頑張ろうという意識です。
これは次記事で書こうと思いますが、あらためて私が行った
実証分析を見返した時に、発見した事柄です。


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Posted by 藤井哲也 at 11:10Comments(0)子育てによる実践知獲得

2018年08月05日

「ティール組織」における働き方



 先日、「京都流議定書」というイベントに参加してきました。
 京都にあるウエダ本社という会社が主催され、今年で11回目を迎えるイベントです。
 
 今回のテーマは、【「ティール×京都流議定書」の組織・働き方】ということで、
 今話題の「ティール組織」を日本に持ち込んだ第一人者である嘉村賢州氏による
 講演から幕を空けました。(それこそ10年数年ほど前に友人の紹介で当時学生だった
 嘉村氏一度だけお会いしたことがありますが、いまは立派に東京工業大学の
 特任准教授を務められるまでになっています。)







 「ティール組織」そのものの説明については、すでに他のホームページなどで
詳細に記載されているところですので、ここでは超簡単に述べますと、




 「管理マネジメント」主導だった組織のあり方について疑問を感じた学者が
「家族的」な組織のあり方(ワークライフバランス的なもの)が、次の次元に
あるのではないか、そしてその次が「ティール型組織」ではないかというものです。

 この「ティール型組織」は管理を特段行いません。ボス(管理者)もいません。
 上司といわれる人は、メンバーの支援者に過ぎません。
 こういう組織がすでに世界ではあり、そうした事例も広く取り上げられています。

 なぜ「ティール組織」が良いのかといえば、経営者に仕事が楽しいかと聞けば、
 「楽しくない」と答え、一方で、メンバーに対して同様に楽しいか聞けば、
 「楽しくない」と答える。

 これで果たしていいのだろうか?と。
 組織は誰のためのものなのか、そう考えると、管理型組織というものは、
 今の時代に相応しいものではないのじゃないかと考えられました。
 解説はこのくらいにしておきます。


 さてその「ティール型組織」ですが、
 キーワードに「セルフマネジメント」と「全体性(wholeness)」と、
「存続意義」という3つが取り上げられています。


 そもそもそんな自律的な組織にあっては、個々人が高い意識を持ち
セルフマネジメントに取り組まないといけません。
 そして組織としては働く人の全体を大切にすべきだというのです。
 つまり仕事も、趣味も、家庭も、生き方も悩みも、これからの目標も。
 この「全体性」というのが、まさに「ワークライフシナジー」そのものだと
思うのです。

 「ワークライフシナジー」というよりも、
 「ワーク×キャリア×ファミリー×社会貢献=生きがいのシナジー」を、
組織は尊重すべきだというもので、ここにこれからの生き方とティール型
組織との共通項があると考えられます。


 もちろん全ての組織において、ティール組織がふさわしいのか、
またはティール組織足り得るのかといえば、そうとは言えません。
これは先に挙げたこの理論の提唱者の学者も述べています。

 なによりも「セルフマネジメント」なくして、このような働き方も
組織も成立しないというところにポイントがあるかもしれません。

 他者や組織依存ではなく、depend on yourself の精神で
働き、生きていくことこそが、仕事も家庭も、キャリアも、社会活動も
充実し、生きがいを向上させていくことにつながるのだと思います。


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2018年07月26日

「ワークライフシナジー」の視点から欲求階層理論を再構築する



 「仕事と生活とのバランス」を図式で考えると、
 以前は以下のようなものであったと思います。




 しかし何か違うんですよね。
 こうじゃないかと。




 「ライフ」の中に様々なものが含まれていると思います。
 そもそも「ライフ」を生活としているのもどうかと感じており、
 私としては「人生」、すこし重たいので、「生きがい」という
 感じではないかと捉えています。

 その中に「仕事」や「家庭」、「社会活動」などが含まれており、
 それらが「生きがい」アップにつながっていくものだと考えます。

 だから、ワークライフバランスは、仕事を減らして生活を
 増やすというものではなく、仕事も家庭も、社会貢献活動も
 して生きがいを高めていくための要素だと思うのです。

 また、仕事も家庭活動なども相乗効果を発揮して、
 仕事スキルの向上、ひいては自己成長につながるという
 私の実証分析結果に基づくと、自己成長という概念もまた、
 生きがい向上につながるはずです。

 * * *

 



 最近、欲求階層理論はワークモチベーションの視点から
 取り上げられ、論じられてきたように思いますが、
 生きがい向上の観点から見ると、例えば承認欲求は、
 「認められたい欲求」ですが、これは自分のやった成果や
 高めてきた能力等を正当に評価してほしい(得てして
 自己評価が高いので、自分の希望通りの評価は、
 他者からは得られにくいものですが…)ということで、
 企業の場合は、業績や能力に焦点があてられて評価される
 ことが多いと思います。

 労働者からすると、たとえ仕事での評価は低くとも、
 家庭内での評価、社会的評価が一定高ければ、
 企業内評価の低さに耐えられるかもしれません。
 
 ただ、企業で成果をあげられる人は、それなりの
 マネジメントスキルを有した方であり、
 子育てや社会的活動などの様々な経験を踏まえて、
 成長してきたわけであり、自分の成長という要素が
 非常に大きいと考えます。

 そのように考えると、欲求階層理論の中でも、
 認められたいという欲求や自己実現欲求を満たしていくためには、
 仕事だけではなく、家庭を大事にしたり、自分の能力開発などの
 要素が絡み合うことが求められるのだと思います。

 人事施策においても、これまでの企業内だけの評価に
 目を配るのではなく、自己成長をしてもらうために、
 いかにして仕事外の経験を積んでもらうか、家庭で家事や子育てを
 したり、社会でボランティア活動をしたり、NPO活動や自治会活動を
 してもらうのかという点も、モチベーションアップやリテンション、
 生きがいの向上につながっていくものだと思います。


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Posted by 藤井哲也 at 12:11Comments(0)子育てによる実践知獲得

2018年07月24日

ワーク・ライフ・シナジー‼‼



「ワーク・ライフ・バランス」(仕事と生活のバランス)。

この言葉が2000年代前半に生まれて、もう10年以上が経ちます。
当時はなんて生ぬるい考え方だと思っていましたが、今の時代、
夫婦共稼ぎモデルが中心となってきており、子育てや家事と
仕事を両立させながら、生きていくということは、
一般的になってきているように考えられます。


しかしながら、「ワーク・ライフ・バランス」という言葉に、
ずっと違和感を覚えてきたのは、私だけではないと思います。
それは、仕事も家庭も、背反するものでもなく、
バランスを保つことは大切かもしれませんが、
いかにも長時間労働を是正せんがための方便のように
思えてならなかったからです。


この間、私が行っている調査研究によれば、
「ワーク(仕事)」と「ライフ(子育てなど)」との間には、
個々人の能力を向上させるという観点から言うと、
相乗効果があるということが分かってきました。





つまり、「ワーク・ライフ・バランス」(両立)ではなく、
「ワーク・ライフ・シナジー」(相乗効果)
です。

上図では、仕事を通じて得られる能力向上要素と、
子育てを通じて得られる能力向上要素とは
微妙に重なっていないことがわかります。
(例えば、「業務能力向上」は仕事を通じてのみ得られ、
 「他部門理解の促進」は子育てを通じてのみ得られる。
 「視野の拡大」は子育てのみで得られるetc)

仕事一辺倒の生き方(ワーカホリック)では、確かに仕事上の
必要知識や手順などを学ぶことはできるかもしれませんが、
他部門や他者とのコミュニケーションなどの能力は十分に
磨かれず、子育てなど職務外の活動で得られるのではないでしょうか。
視野の拡大などは正に典型的で、仕事一筋の人よりも、
多様な趣味を持ち休日はリフレッシュしつつ、子育てを含む、
様々な活動をしている人の方が、新しい概念を創出で来たり、
問題解決に向けた対処法を考え出せたりするように考えます。

これらのことから言えるのは、
仕事だけでは、マネジメントスキルを身に付けられず、
また子育てや家事、職務外活動だけでも十分にマネジメントスキルは
身につかなない。その両方を経験する中で、相乗的に
マネジメントスキルが形成され、スキルが習熟していくということです。



そういえば、仕事も遊び(や子育て)に一生懸命だった人の方が
生真面目で仕事一筋の人よりも出世が早く、また実際に仕事ができる
印象が強いのはなぜでしょうか。


仕事も子育ても相乗効果が見られるのであれば、
ワークライフバランス(両立)をしてもいいのかもしれません。
長時間労働是正という政策推進のみならず、
一人ひとりの働く人にとっても、スキル形成につながり、
また充実した生き方をしていけるのではないかと考えます。


「ワーク・ライフ・シナジー」こそ、概念的にこれから重視されるべきで、
男性にとって子育てや家事に対する価値づけ、動機づけになるでしょうし、
女性にとっては出産・子育てによるキャリア断絶の影響を緩和、
もしくは相乗効果でスキル形成につなげることもできる機会であると
捉えなおすこともできるはずです。

非常に重要な概念であり、今回の調査研究は、
私自身としては大変意義あるものであると考えております。


                          情熱を胸にICON179






  


Posted by 藤井哲也 at 16:58Comments(0)子育てによる実践知獲得