2018年07月08日

AIに勝てる人材の可能性(5)



先の記事で取り上げた井上氏の「人工知能と経済の未来」には
「汎用AI」が普及し始めても当分の間は次の3つの分類の
仕事は残るだろうと考えられています。

・クリエイティビティの仕事: 小説を書く、映画を撮る、発明する等
・マネジメントの仕事: 工場店舗管理、企業経営、人事管理等
・ホスピタリティの仕事: 弁護士、看護師、保育士、インストラクタ等


私もこの考えに共感します。
逆に言えば、これら以外の仕事は、ほぼ淘汰されてしまうといっても
過言ではないかも知れません。少なくとも生活していける基盤を
維持できる収入を得られる仕事ではなくなっていると考えます。
(副業か趣味かといった程度ではないでしょうか)

言語の壁もおそらく超えるはずです。
もうすでに自動即時通訳・翻訳が実現しつつある中で、
日常会話をストレスなく言語間の壁を越えて、コミュニケーションできる
社会は2030年代には訪れるだろうと思います。

失業率はAIの普及に時間が要するとはいえ、いまよりも
確実に増えていくはずですし、貧しい人たちはAIが供給する
コモディティに囲まれて生涯を生きることになるかもしれません。


もしそうした時代に、AIに勝てる人材像を示すならば、
「人間性」「芸術性・感性・美的感覚」を持つ人材であることだと思います。

人の心に快適性や幸福の感情を与える事ができる人、
どのようなことをその人が考えているのかを、周囲の状況などを
踏まえて判断し、人間らしいサービスを提供できる人。
オリジナリティあふれる企画を練れる人、場所やシーンを演出できる人。
またはAIや人間や仕事を管理できる人。

そんな人が、AI時代に勝ち残る人だと考えます。
そしてそうなるため、すべきことは「機械学習できない越境型の経験」
だと提案します。

つまり、仕事だけではなく、趣味や社会的活動、場合によっては
介護や子育てといった仕事以外の経験から、人間の心の機微を
感じ取ったり、類推の幅を広げられたり、または特化型AIに負けないように
分野横断型の知識や経験をして、それらを横断的に活用した創造性を
磨き上げることだと考えます。

仕事のスキルは、AIに置き換えられる、代替可能なものであったとしても
感性などを組み合わせることで、AIには置き換えられない、価値を
創造することができるはずです。

私は大学院で子育てスキルはマネジメントスキル向上に資するという
研究を行い、その仮説が支持される調査研究を進める事ができました。
これは仕事以外の経験が、本業である仕事スキルの向上にも寄与する
ということが明らかになったものです。
そしてその要因も現在分析を進めていますが、「視野の拡大」
「類推による問題解決」が大きな要素であると考えられます。


子どもが勉強をやりたがらない、なぜだろう?(私もそうでしたが…)
部下が仕事にモチベーションがあがらないが、子育て経験から
使える技はないだろうか?

消防団の活動はめんどうだ。でもなぜあんなにみんながんばるんだろう。
硬直型の組織構造の原因を考えることで、自分の職場の
問題改善につなげることはできないだろうか。

今度の休日は、家族で海が見えるところに行きたい。
その場所で新しいビジネスを思い浮かぶかもしれないし、
家族全体のワークライフバランスの充実を通じて、
家族や子どもから、もしくはレストランのウェイターさんから
何かを学ぶかもしれません。


これからのAI第1世代の荒波を超えるために、
働く人に求められることは、「仕事以外の経験を積む」
ということだと考えます。

そして同時に仕事以外の経験を仕事に活かすためには
日常的に、類推の力を養っておく必要があります。
これには自分の様々な経験を内省する機会が重要ですし、
他者からのフィードバックも大切になってきます。

そうした試行錯誤や、実践活動の繰り返しによって
AI時代にあっても、生産性を維持し、豊かな生き方を
実現できるようになると思います。

子ども時代はいろんな経験をしようと考えていたのに
いまはやっていないのであれば、ぜひ今日は違う明日の
スケジュールを考えてみる必要があると思います。
そして得た経験を自分や家族に話しして、
なんらかの会話をすることが重要になってくると思います。


情熱を胸にICON179






Posted by 藤井哲也 at 13:16│Comments(0)情熱(私の思い)
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