2018年07月18日

重回帰分析による「子育てによる成長実感」の検証(3)



最後に「子育てによる成長実感」に関して、
もう一つだけ記事を書いておきます。

それは「子育てによる成長実感」が、
果たして、「ビジネススキル」につながっているのかという問いです。

今度は、実践知として知られる「テクニカルスキル」と
「ヒューマンスキル」、「コンセプチュアルスキル」を従属変数とし、
「子育てによる成長実感6因子」と「仕事による成長実感6因子」を
独立変数として、それぞれ重回帰分析により、有意性を導きました。
(3つのスキルについては、ロバート・カッツ氏によるものです)

その分析結果は下記のモノです。

重回帰分析による「子育てによる成長実感」の検証(3)


この分析結果を、前記事で導いた
「子育て経験がどのような成長実感につながっているのか?」と
組みあわせて図式したものが下記のものです。

子育てはビジネススキル獲得につながっているのか



どうやら子育てに関わっている本人が感じる「能力向上要素」と
実際に、実践知の獲得につながっている「能力向上要素」には
若干の相違があるようです。

つまり、自分では認識していない子育てによる能力向上要因が
仕事の現場では役立っていることが多いと言えます。
主なものとして、「部門間調整力の向上」と「視野の拡大」です。

この調査を行う際には、約500名の方々に、
「子育てを通じて獲得できる能力はどのようなものでしょうか」という
記述式の項目も入れています。
その内容を確認しても、「他部署・他者への理解促進」に関連する、
「人への思いやり」や「寛容性」、「新しいアイデア・創造力」や
部門間調整や業務能力向上と関連があるだろう、
「マルチタスクの管理」「柔軟性・臨機応変力」、「時間管理」などが
挙げられています。
(詳細はまたどのタイミングかで別記事にまとめます)


こうした自己認識と、実際には所得向上や出世などに影響を
与えている要素間では、少し違う関係にあると言えます。

しかしながら子育て経験による「視野拡大」や「部門間調整力」は、
有意な関係ではありませんでした。

こうした事柄を踏まえ、まとめるならば、
人によって「視野拡大」や「部門間調整力」に関する能力向上を
実感できるかどうかは、まちまちだと言える(有意ではない)ので、
子育てを通じてビジネススキル獲得を目指すのであれば、
「視野の拡大」や「部門間(他者との)調整力」を磨く意識を
もって取り組むことが、大切な事柄であることが示唆されます。


仕事も家庭も充実させようとする、
これからのワークライフバランスのあり方としては、
両方をシナジーさせるために、
子育てや社会的活動においても、
スキルアップを意識して取り組むことが、
重要であると考えます。


情熱を胸にICON179





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