2018年07月07日

AIに勝てる人材の可能性(4)



「消費」は主に人間で行うものである以上、それほど変動は
ないと考えられます。
 
「生産」は単純労働や機械学習によって行える事柄は
ほとんどがAIにとって代わられるはずです。
単純労働の中には、税理士などが行う入力作業も
含まれるでしょうし、コンビニやスーパーのレジも含まれる
はずです。

オックスフォード大学のオズボーン教授による「雇用の未来」
という著書は、今後20年程度でなくなる職種が示されたこと
で有名ですが、その中には、レジ係(97%)、コック(96%)
受付係(96%)、弁護士助手(94%)、ホテルフロント(94%)
ウェイター(94%)、会計士(94%)、保険販売代理員(92%)
バス運転手(89%)、警備員(84%)、理髪師(80%)、
皿洗い(77%)などの職種が高い確率で消滅するだろうと
しています。

これは笑い事でも戯言でもなく、私自身も実際にそう感じます。
おそらく機械学習で行える上記仕事の多くはなくなるはずです。

単純作業や機械学習によって支えられる仕事の大半は、
AIが担う事ができるようになるなら、生産性は飛躍的に高く
なるはずです。つまり安いコストで、商品やサービスを提供できる
ようになるからです。そうした商品やサービスの「価値」は
相対的に低くなる(廉価)はずです。
逆に、相対的に価値が高まるのは、AIができないような
生産活動によって生み出される商品やサービスであるはずです。

これはある意味、豊かさの格差の助長を生み出します。
お金を持たない人は、AIが提供するサービスを利用し、
お金を持つ人は、AIが提供できないような感性豊かで
人間らしいサービスを享受することができると言えます。
機械的な世界で生きる人たちと、感性豊かな世界で生きる人たち
との間に格差が生まれるのではないでしょうか。
これは「幸福の格差」といってもいいかもしれません。

味気ないコモデティの中で過ごす生活と、人間性を感じられる
オリジナリティの中で過ごす生活では、その生き甲斐に大きな
格差が生じるような気がします。
そしてその格差は、ピケティがいうように、資産課税が進められ
ない限り、広がる一方であると思われます。
それは、汎用AIによって仕事が奪われる労働者の人にとっては、
逆転不可能な時代の到来になってしまうかもしれません。
1990年代前半にパソコンやインターネットへ順応できず、
職場を去らざるを得なかった(リストラされた)おっさんらの
二の舞が、再び起こり得るのだと思います。


いずれにしても、2030年といえば、もう、たった10年先のことです。
今から10年少し前といえば、2006年、2007年のリーマンショックの
時代ですが、あっという間に、そうした時代が来ると言えます。
仕事の能力や、子どもの教育においても、いまから十分に備えておく
必要があると考えます。

今からどのようなことに取り組むべきなのでしょうか。
私自身が最もお伝えしたかったことを最後にまとめたいと思います。


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Posted by 藤井哲也 at 12:13Comments(0)情熱(私の思い)

2018年07月06日

AIに勝てる人材の可能性(3)



「人工知能と経済の未来」(井上智洋、文春新書、2016)から気になる
箇所を転載させて頂きます。

 今から15年後の2030年くらいには汎用AIが出現しているものと
 予測しています。私もその予想を支持しますが、全ての知性の面で
 AIが人間並みかそれ以上になるのは難しいだろうと思っています。
 前章でも述べましたが、「大部分の知性」と「全ての知性」では、
 天と地ほどの開きがあります。その開きの理由を一言でまとめると
 「生命の壁」が立ちはだかっているからです。
 (85頁)

 ところが、脳の作動原理が分かったからといって、全ての知性が
 再現できるわけではありません。というのも、私たちの知性は、
 私たちの持つ無数の欲望や感性と結びついているからです。
 人間の心に潜む欲望や感性の全てを取り出すことは、現在の
 技術ではできません。
 人間の欲望は、食欲や性欲など生存や繁殖に関わるものに
 限定されておらず、自殺願望や破滅願望をも含んでおり多方向的
 です。感性にしても、そよ風が頬を撫でたら心地よいが、
 強風が吹き付けたら不快であるというように、繊細かつ複雑です。
 (87-88頁)

 生命の壁として最も分かりやすく誰でも思いつくのは、AIが人間の
 よな身体を持たないがゆえに「身体知」を持ちえないということで
 しょう。「身体知」とは、泳ぎ方とかバッドの振り方、バイオリンの
 弾き方のような、ことばでは明示し難い無数の身体感覚に基づいた
 知識のことです。
 (93頁)

現在のAIは将棋ソフトや、自動翻訳や、レコメンドシステムなど、
ある機能に特化した「特化型AI」であるとされています。
しかし、人間の脳機能を真似ることで開発が進められているのが、
「汎用AI」と呼ばれるもので、人間の知性に近いものです。
現在、グーグル傘下のディープマインド社などが開発を急いでいます。

この「汎用AI」が実用化されれば、多機能な事を成し遂げつつ、
学習機能を備えて、より効率的効果的に問題解決ができる機械が
普及していくことになります。2030年代には実用化されるということ
ですから、もう10年、20年以内です。今の小学生が社会に出るころ
にはもう「汎用AI」が世に出て、多くの仕事を人間に変り行っている
事だと思います。


しかしながら、全ての仕事を直ちに「汎用AI」ができるのかといえば、
そういうわけではありません。「身体知」がないこと、人間らしさ(感性)
がないことなどが、その理由です。

英語の翻訳などはAIが担う事ができるはずですが、例えば
ビジネスにおける人間関係や社会環境、ライバル関係などを考慮した
交渉コミュニケーションなどは、汎用AIでも難しいと思います。

また画面の中のサッカーゲームでは汎用AIは部類の強さを誇るかも
しれませんが、実際に体を動かすAI搭載ロボットと人間とのゲームで
あれば、AIチームはおそらく人間チームには勝てないはずです。
(少なくとも2030年代では。いずれAIチームが勝つような時代も
 くると思いますが)

休日の使い方について「汎用AI」に相談した時に、
美術館や博物館を進めるでしょうか。仮に美術館や博物館をおススメ
してくれるAIが出たとしても、その人にとってどんな美術館がいいのか
もしくは、美術館と同様に、素晴らしい絶景が見える丘が同等の
価値を持ちうることをAIは理解できているでしょうか。
おそらく2030年代にはそうしたことをAIはカバーできていないはずです。

飛行機がない時代に、飛行機のことを想像できないように、
またロケットがない時代に、まさか星座や月を見上げていた観賞としての
宇宙がアクセス可能であることが想像できないように、「汎用AI」が出現
した時に、どのような社会が待っているのかは想像することは難しいですが
そのスピードは特異点があるかのように、ある時点から全く異なる次元の
社会になることはないと思われます。やはり汎用AIが出現したとしても
その進化には時間的猶予があり、人間はそうした社会変化に順応していく
必要があるものの、まず考えるべきは、「汎用AI」第1世代に備えて、
働く人や今の子ども達の教育や職業訓練を行っていくことであると考えます。

「汎用AI」第1世代である2030年代にあって、考えるべきことの前提は
「消費」と「生産」、そして「価値」の関係は変わらないことだと考えます。
すなわち、人間が生きていくために、より良い生活を過ごしていくために
「消費」はなくならないはずです。そして消費を支える「生産」もなくならない
はずです。この「生産」の部分を、人間とAIが分け合っていくと思われます。

そして「価値」は、「消費(需要)」と「生産(供給)」の関係で成り立つことは
いまから10年先、20年先でも変わらないはずです。


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Posted by 藤井哲也 at 16:02Comments(0)情熱(私の思い)

2018年07月05日

AIに勝てる人材の可能性(2)



改めて経験学習理論について振り返りたいが、
有名なコルブの理論を紹介したい。




「濃い具体的な経験」がまず必須であり、
その経験を知見に変換するためには、
「省察」と「概念化」によって自分のものとし、
さらに「実践」を通じて、経験知・実践知として
蓄積していくことが求められます。

省察は、クリティカルシンキング、つまり批判的思考とも
言われますが、これは他人や客観的事実に対する批判のみ
ならず、自分の行動や思考に対しても批判的であるかという
ことです。経験を積めば積むほど、人は信念を持つように
なりますが、これは省察とは相入れにくいもので、
信念を持っている人は、自分の思考や行動とは異なることがらに
対してなかなか受け入れることができにくくなります。

だから歳を重ね、経験を積むほど、頑固になり、
堅物になってしまうのです。

また概念化は、メタ認知のスキルが大きく関係していると思います。
そして実践を積み重ねる必要性もありますが、やはり
人は機械と違って、体力や気力、お金や時間の面でも、
制約がありますので、どうしても実践の機会は機械学習に比べて
劣ってしまうことが多いのではないでしょうか。

以上の事柄を踏まえ、やはりAIというのは人間の労働や雇用に
対して一定の脅威であることは間違いないと思います。
機械が学習するスピードの方が断然早く、パターンや概念化する
力というのも、高い知性を持った人間がプログラミングによって
生成することができるわけです。さらには、ディープラーニングの
技術により、実践を積み重ねる中で、どんどん経験知を高めて
いくことができるのです。


一方で、AIに人間が勝てるとすれば、どの様な事柄でしょうか?

井上智洋氏の「人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊」は
ベストセラーとなった著書です。


アマゾン

この本などを読む中で、AI時代でも勝てる人材の
要件を考えてみたいと思います。


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Posted by 藤井哲也 at 10:18Comments(0)情熱(私の思い)

2018年07月04日

AIに勝てる人材の可能性(1)

A・I(人工知能)に関する研究や技術開発が、目覚ましく躍進しています。
産業革命で、仕事の内容が大きく変わったように、
またはインターネットの出現で、仕事のやり方や消費の仕組みが変化し、
多くの雇用が生まれ、失われたように、
AIの発展は、雇用問題に多大な影響を与えることは間違いありません。

しかし、インターネットの出現以来の雇用環境の変化は、
あっという間でした。
(1998年にウィンドウズ98が出て、ネットビジネスが勃興し始めたのが
 2000年代初頭。仕事のやり方も大きく変わり始めました。
 またアマゾンドットコムやスマホ普及により消費の仕組みも大きく
 変わり始めたのが2010年代。この間、たった15年程度で、 
 大きく社会は変わりました)

これに対して、「人工知能の出現による雇用環境の変化」は、
今のところ、緩やかに進んでいるように思われます。
今後、革新的な技術サービスが供給される可能性はありますが、
この緩やかな雇用環境の変化スピードは、
人間が順応していくには十分な時間があるように思われます。

そもそもなぜAIがすごいのかと言えば、
私としては、「経験学習のスピードが半端ない」からだと考えます。

私が大学院で研究した「経験学習論」の見地に立てば、
「濃い経験」が、人のビジネススキル(生産性スキル)を高めると言えます。
この「濃い経験」を、人間はけっこう厭います。
労力的に大変でストレスがかかることが多いからです。

しかし機械は、そうした労力やストレスがかかりません。
ここに機械学習の凄さがあると思います。

また人間は得た経験を深層化するための休憩や就寝が必要です。
しかしながら、機械はそうした時間を必要としません。

どれだけ「濃い経験」を積んだとしても、AIの反復機械学習や、
休息無しの連続学習は、人間には到底できる技ではないと思います。

つまり、機械的に経験できる事象に対しては、
人間はそのうち太刀打ちができなくなる可能性が大きいと考えます。

そうであれば、緩やかなAIの進歩に対して、
いまのうちに現代に生きる人間はどのような経験をし学習をしていけば
良いのでしょうか?


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Posted by 藤井哲也 at 08:11Comments(0)情熱(私の思い)

2018年07月02日

15期目の決算。日本労務学会に入会します!


【15期目の決算】

一昨日6月30日で15期目の決算を迎えました。
おかげさまで株式会社パシオは7月1日からは16期目に入っております。

創業した2003年から、雇用環境の浮き沈みに合わせて
社業の盛衰も味わってきました。

しかし、どんな時も多くの皆様のご支援とご協力のもとで
難局を切り抜けてくることができました。
これまで関わってきてくれた社員やパートナー、お取引先様や
サポート機関の皆様をはじめ、多くの皆様に感謝申し上げます。
ありがとうございます。

近々リニューアルするホームページで明らかにしますが、
会社のブランドコンセプトや事業内容を少しリニューアルします。
時代に即し、そして時代を先取る事業展開を
今後も継続していきたいと思います。
今後ともご指導ご鞭撻のほど、宜しくお願い申し上げます。


【日本労務学会に入会】

そしてこの度、日本労務学会に入会させて頂きます。
京都大学公共政策大学院で、
子育て経験等の社会活動がどのようなマネジメントスキルの獲得に
つながっているのかという、ポスト就職氷河期世代向けの
キャリア形成支援につながる調査研究を行い、一定の成果を
出せたことから、今後も引き続き、学究にも取り組み、
最先端の知見を学ぶ中で、社会をより良くしていきたいと考えました。

学会入会の推薦者は、以前から事あるごとにご指導を仰いでいる、
同志社大学の太田肇先生です。

さっそく6月30日、7月1日の2日間にわたって、
九州産業大学での全国大会に参加してきました。






日本労務学会は、HRM(人的資源管理)分野では最大の学会です。
普通に、超大物の研究者が座っているのでびっくりしましたが、
知識を得るのも、そして人的ネットワークを形成するのにも素晴らしい
組織だと思います。

初日は基調講演等をうかがい、2日目はワークライフバランスに関して
3コマ分の学術研究報告を聞きました。

私自身が研究することよりも、最新の研究動向を学び、
企業や社会に普及していくことで私が目指す社会に
つながっていけばいいなと考えています。
研究者と企業・社会との媒介をしていきたいと、
今回の学会全国大会に参加して思うに至りました。
(逆に言うと、研究者としての私自身のキャリア形成は
 難しいと感じました。それほどレベルが高い学問領域
 だと思います)



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Posted by 藤井哲也 at 17:03Comments(0)PASIO(会社のこと)