2019年11月09日

全国各地で就職氷河期世代活躍支援のモデル事業が始まる!



 愛知県や熊本県、沖縄県をはじめ、大阪府、東京都など全国各地で来年度から着手される就職氷河期世代活躍支援のモデル事業が先行して取り組み始められようとしています。
 私のその動向を追い、最新の情報を収集すべく動いています。有効な政策となるように、必要に応じて、アプローチできる先に提言や情報提供をしていきたいと考えています。

 また私自身、就職氷河期世代活躍支援に関して、いくつか雑誌社から寄稿依頼を頂戴しており、現在、準備や執筆作業を進めています。政策立案の現場からできるだけ情報を仕入れ、また都道府県レベルの施策の状況を把握し、あわせて受入れ側の企業の事例なども取材させて頂くなどして、寄稿を通じて社会に広く就職氷河期世代の採用や戦力化について役立つ情報をご提供し、還元していきたいと考えています。





 いま、活動の大半は東京です。東京では様々な人と出会う事ができています。
 この半年で得た経験や知見、人脈を生かし、今後の事業成長につなげていきたいと考えています。



 永田町にある東京日枝神社でひいたおみくじ。第一番大吉。今年は6回くらいクジをひきましたが、そのうち4回は大吉が出ています。それほど今年はいい感じではないのですが、今回ひいたクジは来年の吉凶を占うつもりのものでしたので、来年はきっといい年になるはずです。早くも年の瀬の足音が近づいてきています。




  


  • Posted by 藤井哲也 at 12:34Comments(0)就職氷河期世代活躍

    2019年10月06日

    年齢が上がると学習スキルは下がるのか?



     就職氷河期世代活躍対策に関連して、年齢が上がると学習スキルが下がるので、40歳を過ぎてもあまり教育訓練は意味がないんじゃないだろうかという意見をよく聞くことがあります。

     私自身は今年で41歳になりますが、これまで同様に好奇心旺盛で、学習意欲が高い為、そのような仮説・疑問に対して否定的なのですが、実際にデータで見てみたいと思い、大学院研究論文の執筆の際にとった調査データ(マクロミルに委託して20歳~45歳の働く男女に対する無作為抽出調査)を用いて、実際はどうなのかを分析してみました。



     学習スキルは、楠見孝先生(京都大学教育学研究科教授)のモデルを用いて、挑戦心(探究心)、柔軟性、評価志向(周りの目をどれくらい気にするか)、批判的思考力(クリティカルシンキング)の4指標を用いました。

     分析の結果はグラフにある通りですが、年齢が上がると柔軟性が若干下がり、20代前半→20代後半以降は批判的思考力に差があるように感じられます。
     さらに回帰分析で、それぞれ年齢が各要素に影響を与えているのかを調べてみました。下図です。



     見ると、柔軟性と評価志向性が影響を与えている(統計的に有意)ことが分かりました。
     また別に学歴(中学卒、高校卒、短大・専門学校卒、大卒の4区分)が影響を与えているのかも分析しましたが、学歴は批判的思考力のみに有意に影響を与えていることが分かりました。

     
     これらの分析結果からわかることは、確かに年齢が上るほど、「柔軟性」が下がり、自分の考えに固執する傾向があるように思われます。また評価志向性も年齢が上る程、高まるので、年長になる程、周囲の目が気になるということも言えるようです。さらに高学歴なほど、自分や現象を客観視して、問題を批判的に捉えようとする傾向があるようです。

     最初の命題「年齢があがると学習スキルは下がるのか?」について。
     結果的に、柔軟性が下がるなどにより、学習スキルは下がるようです。
     しかしながら、自分の考えを年齢を重ねる上で積んでいくので、これは当たり前と言えば、当たり前。
     この前提に立って、どのように各人が成長意欲を維持していくのか、また労働政策においても能力開発の観点からも、成長を促していくのかが重要になってくると考えられます。

     そしてもう一つ言えるのは、年齢が上がっても知的探究心や挑戦心はそんなに下がらないという事実(データ的には)です。能力開発機会さえ与えられれば、きっとどんなポジションであったとしても挑戦する気持ちは湧いてくると思います。その挑戦心をそいでいるのは外的要因かもしれません。就職氷河期世代にとっては、非正規歴が長かったからという理由で、能力開発機会が限られてきた人もけっこう多くいます。そうした人に、成長の機会を与えることは大切だと考えます。

     




     
             



      


  • Posted by 藤井哲也 at 12:59Comments(1)就職氷河期世代活躍

    2019年09月01日

    「就職氷河期世代の就職困難さ」をグラフで振り返る


    先の記事で就職氷河期世代の進学でも就職でもない人たちの推移をグラフでまとめました。
    本記事では、これに加えて「一時的な職(アルバイト)に就いた人」を加えたグラフにまとめます。

    実際、一時的な職(アルバイト)に就いた人の多くは、無職よりも、とりあえずは生活をしていくためのアルバイトをしなければならない状況に追い込まれてしまいます。進学も就職もしない人というのは、親元など頼るべき保護者がいる場合、そうした選択をすることができますが、学校を出て、帰るべきところがなかったり、家族の状況によっては、アルバイトで当座をしのぐしかありません。

    また、非正規労働者になった者もグラフに加えようと思いましたが、学校基本調査では2011年以前は統計データがありませんでした。合わせて、高校生の卒業後の無業者や非正規労働者になった者も、社会全体の姿を現すために統計を探しましたが、2000年代半ば以降しか、安定的にデータを収集することができなかったため、今回は大学卒業者のみを対象としたグラフとすることにしました。







    大学卒業後、一時的な職(アルバイト)に就いた者を、進学も就職もしなかった者と合わせてみると、1999年~2005年に卒業している学年の人は、その20%以上が不安定な状況になったと見れます。非正規雇用形態で就職した人の統計データはありませんが、約3万人程度と想定すると、この世代の30%近くの人が、正社員ではなく、生活基盤が安定しない状況になっていたと考えられます。

    下の表は、学校基本調査から数値を抽出したものです。
    黄色で塗った年度は、就職困難さ(進学も就職もしなかった人と一時的なアルバイトの人÷卒業者数の偏差値)が、60を超えています。
    1999年3月卒業者~2004年3月卒業者までが偏差値60を超えており、特に就職が困難だったことが分かります。
    これに次いで、2005年3月卒業者や、2010年3月卒業者~2012年3月卒業者が比較的高い数字です。


    なぜ、就職氷河期世代の所得が低い要因や、現在の状況については、以下の研究などがあります。
    「就職氷河期世代」の現在・過去・未来」(JILPT 2019年7月労働政策フォーラム)
    「人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか」(玄田有史編、2017年)
    「新たな就職氷河期世代を生まないために」(連合総研編)
    「若年者就業の経済学」(太田聰一著、2010年)
    「雇用形態や子育て・コミュニティ活動等がスキル獲得に与える影響」(拙著、2018年)



    余談になりますが、就職氷河期と一般的にくくられるのは1993年~2005年とされます。
    しかし私が調べた限りでは、1993年卒業者は就職困難者率が8,4%であり、偏差値も40を切っています。数字が低いからといって一概に就職が容易だったということは言いきれませんが、本当に苦しかった時期を経験した一人としては、違和感を若干覚えます。

    ときどき就職氷河期世代でない方から、言われるのですが、就職氷河期世代だけを対象とした支援施策というのは、結局のところ、他の世代に対しても有効であり、就職氷河期世代だけを対象とした支援施策というのは、過保護ではないかという意見です。

    個人的にはそのご意見の通り、就職氷河期世代に対する就労支援施策は、他の世代に対しても有効であると思います。しかしながら、政策の効果や、同世代のボリュームや今後の社会保障制度に与える影響を考えると、同世代を集中的に支援しようとする国の考え方には全面的に賛成するもので、有効な施策をぜひ取って頂きたいと願っています。

    どういう施策が有効なのか、先日の記事に少しまとめましたが、時間があれば、エビデンスに基づいた提言もしていきたいと思います。(しかし、そこに充てる時間がほとんどない・・)


    藤井哲也


      


  • Posted by 藤井哲也 at 12:03Comments(0)就職氷河期世代活躍

    2019年08月31日

    就職氷河期世代活躍支援の対象とすべき層

    就職氷河期とは一般的に1993年~2005年頃に初職に就いた人たちのことを言います。
    私も2001年に大学を卒業し、大変お世話になった最初の会社に就職しましたので、この就職氷河期世代の一人です。

    データで実際に見てみると以下の通りとなりました。
    学校基本調査に基づいてまとめた、「大卒者のうち、就職でも進学でもない者もしくは無業者」(統計をとる年度によって呼び方が変わっています)の推移です。






    こう見ると、就職氷河期と言われる1993年~2005年は確かに、大卒での無業率は高い状況にありますが、無業率が15%を越えているのは、1996年3月卒業~2005年3月卒業と、2010年3月卒業~2012年卒業です。

    人数で言えば、前期氷河期世代は103万5千人余り、後期氷河期世代は26万1千人です。
    このうち元々就職も進学もする気が無い人(家事手伝いなど)などを9~10%とすると、前期では90万人以上、後期は25万人程度が、就職氷河期世代における支援対象者になると考えられます。

    とりわけ前期就職氷河期世代は現在36歳~45歳になっており、後期の29歳~31歳に比較して、すぐに対応しなければ今後、キャリアの積み増しが難しい年代に差し掛かかかっているように考えられます。そうしたことから、今後3年間で実施される見込みとなっている同世代活躍支援においては、対象となる現在36歳~45歳の人たち、約90万人程度に対して、しっかりとした対策が求められるように思います。


    藤井 哲也



      


  • Posted by 藤井哲也 at 20:59Comments(0)就職氷河期世代活躍

    2019年08月25日

    「就職氷河期世代活躍支援」の概要


    来年度から本格的に展開が始まる「就職氷河期世代活躍支援プラン」の概要が見えてきました。
    厚生労働省の資料に基づくと、

    (1)都道府県ごとのプラットフォームを活用した機運醸成
    (2)福祉と就労をつなぐ都道府県ごとのプラットフォームの整備
    (3)ハローワークへの専門チームの設置
    (4)教育訓練事業者などの民間知見を生かした成果連動型委託訓練制度
    (5)就職氷河期世代向けの短期資格等習得コースの設置
    (6)働きながら無料で受講できるようなEラーニング講座などの開設
    (7)就職氷河期世代に特化した求人開拓、マッチングなど
    (8)トライアル雇用や雇用型訓練事業の拡充
    (9)地域若者サポートステーションの取組強化
    などが挙げられています。

    なるほど。
    しかし、メニューだけ見る限りでは、「(5)就職氷河期世代向けの短期資格等習得コースの設置」と「(6)働きながら無料で受講できるようなEラーニング講座などの開設」以外は、現在すでに取り組まれている施策の拡充の観があり、2000年代初頭から行われてきた若年者就業支援施策の焼き直し感が強いように思われます。

    問題になるのは実効性です。
    仮に、就職氷河期世代を新たに正社員30万人増やすという政府目標を達成しようとするならば、残念ながら現在、厚生労働省が示すプランでは難しそうだということは、就業支援に関わっている方なら体験的に理解できるように感じます。とりあえずプランを素案として提出してここからよりエビデンスも用いながら検討を深めていくなら分かりますが、このままの施策展開をするならば、きっと税金の無駄遣いに終わってしまうのではないかという懸念を覚えます。

    働きながら無料で受講できる講座を設けることはいいことだと思います。
    働くこと×学ぶことを掛け合わせることで、学びのスピードも質も変わります。
    ただ、問題になりそうなのは、就職氷河期世代が果たしてそこにモチベーションを持つかどうかです。
    この世代は、仕事や生活に追われており、とても余った貴重な時間を使って学びに活用しようかというと、私としては難しいのではないかと思います。そういう向学心高い人はきっとすでにホワイトカラーであったり、職場の管理者になっていると思われます。

    また、1か月や2か月で習得し、正社員に結びつくようなスキル習得を目指す新たな職業訓練プログラムも、確かに数値上は効果がありそうに思いますが、あくまでこれは机上の空論と言っていいように思います。
    なぜか。それは求職者の志望がその職種や業種にないからだということです。フォークリフトや運搬に関わる新たな資格を習得して正社員になれるなら、すでにこれまで行われてきた約15年間の若年者就業支援施策の中でなっていると思われます。あくまでこの世代が就業したいのは、そうした職種や業種ではなかったわけです。ジョブカウンセリングによって求職者一人一人にそうした職種・業種への意識を持ってもらえるようにつなげていくのもあり得るのかもしれませんが、実際のところ、そんなに簡単ではありません。

    この就職氷河期世代がこれほどまでに非正規率が高かった要因の一つは、就労環境が悪かったということももちろんありますが、1990年代以降急速に高まってきた大卒率の上昇にもあります。大学を卒業してまで、現業系の仕事につくのは・・というプライドというべきか、拘りがあるため、あくまでホワイトカラーサラリーマンを目指して、ホワイトカラー系の非正規社員を目指したり、マネージャーや管理職を目指して、フードビジネスや物流、流通会社に就職したりしてきましたが、劣悪な職場環境、就労環境で入社後数年で退職してしまい、その後は非正規社員が続いてきたという人が大変多いように感じられます。

    こうした対象者に対して、果たして夜間や土日通える講座をもうけたり、又は短期で正社員になれる現業系資格を取得するコースを設けても、実効性の点で大変疑問を覚えます。


    私としては、いっそのこと、半年から1年間かけて、求職者支援の一環で、新しい時代に求められるスキルに特化して習得するようなプログラムをもうけていくべきではないかと思います。
    具体的に言えば、大学や専門学校で学ぶような専門性が高い統計分析やマーケティングのスキル習得、またプログラミングのスキル習得、実践的な企画立案スキルの習得などです。

    私の経験上、これまで見てきた職業訓練、とりわけ委託訓練事業などでは、基礎的なスキルを学ぶだけです。
    例えば、ワード・エクセル・PPなどを学ぶだけであったり、基本的なマナーを学ぶだけであったり、もしくは介護福祉の初歩的な資格取得をするものとなっています。
    とてもではありませんが、これで正社員になれるほど甘いものではありません。
    根本的に公共職業訓練で行っている事業と、企業が求めるスキルとの間にかい離が生じており、就職できたとしても大変厳しい職場環境の会社であったり、または非正規社員として働き始めるということが多い見受けられます。

    今回の3か年に亘る就職氷河期世代活躍支援は、まさにこれまでの施策の焼き直しであっては全く意味がないと思うのです。抜本的に職業訓練の中身を見直し、リカレント教育(学び直し教育)を進めなければ意味がないと思います。

    たまたま、先日、日経新聞の社説で私の考えに近いものがありましたので、添付させて頂きます。


    日本経済新聞 2019年8月23日 朝刊記事



    せっかく地方議員の仕事から、中央政治や中央省庁に近いところで仕事をすることになりましたので、こうした動向に注意深くモニタリングしていくと共に、私自身、政策形成過程にいる方々にアプローチを試み、私自身の想いや施策提言などをさせて頂きたいと思っています。





    藤井 哲也