2017年04月17日

早期離職の要因(2017年最新バージョン)

 ここ数年、いろいろと研究や知見を深めてくる中で、自分の「早期離職要因」に関する考え方も、バージョンアップされてきましたので、ここで一つ簡単にまとめておきたいと思います。


早期離職の要因(2017年最新バージョン)


 離職に影響を与える組織的要因は大きく4つに分類することができる。

 つまり、「愛着」、「見込みを含めた総報酬」、「ソーシャルサポート」と、「個々人のキャリアや離職に対する考え方」である。「見込みを含めた総報酬」については、現在の「報われ感」と、これからの「期待感」を包含した要因である。これら要因が総合的に作用して、結果的に離職が生じることとなる。

 ちなみに総報酬の内訳は、「金銭的報酬」と「非金銭的報酬」であるが、このうち「非金銭的報酬」については、従来からのABCDEの頭文字をとった5つのファクターを構成要素としている。これ以外にも要素があるかもしれないが、いずれも主な要素とは言えないものに思われるため除外した。

 なお、「リテンション」(人材の定着)と、「モチベーション」は似て非なるものである。
 リテンションは、辞めないための施策であり、モチベーションは生産性を高めるための施策である。
 モチベーションアップに関しては、内発的動機付けと外発的動機付けが主な要素として挙げられる。確かにリテンションに関しても内発的/外発的動機付けは、非金銭的報酬という点では関係するものであるが、リテンションで大きな要素となっている「愛着」について、モチベーションはそれほど関係がないと要素であるなど、リテンションとモチベーションでは違いがある。 

◆◆◆

 上記は「離職」に関する要素分析であるが、以下は「早期離職」についての見解である。

早期離職の要因(2017年最新バージョン)


 入社からの時間経過とともに、それぞれの離職要因が与える影響には変化が生じる。
 すなわち、入社間もない頃は「愛着」は湧かないが、時間経過とともに職場の上司や自社商品または会社そのものに対して愛着が出てくる。また将来への期待は入社当初は大きいものであるが、現実の職務に触れる中である程度、期待も現実化されてくる。報われ感についても、「これだけ頑張っているのに・・」という不満感情が出てくるとすればそれは入社から一定期間を経た後というのが一般的である。 

 つまり、入社後間もない時期に、新入社員が重要視する離職要因は、「将来への期待」である。
 現実的職務提示(RJP)がリテンションにおいて重視される背景も、将来への期待が期待外れに終わらないようにするため、現実的な職務内容を事前に見せておいて、その心理的期待ハードルを引き下げる目的がある。
 そう考えるとすると、あまりに期待させすぎないことと、将来への期待を現実化させる道筋をつけるキャリアカウンセリングやピアカウンセリングなどは入社間もない時期には、有効な施策となりうる。

 さらに入社後数年たった頃には、期待も大きな離職要因ではあるが、愛着や報われ感もそれなりに重要性が高まってくる。ちょうど3年や5年が経つ頃に辞めてしまうと、育成コストだけかかって無駄になってしまうので、そうした時期に辞めるのを回避するためには、組織への愛着を数年かけて醸成する取り組みや風土づくりを進めると共に、報われ感を満たすための非金銭的報酬を提供できる体制や風土づくりを進めておく必要がある。

 リテンションを進める上で大切なことは、Aをやれば早期離職を防げるという特効薬がないことを理解したうえで、より効率的に限られた経営資源を早期離職予防につなげるために、組織に内在している離職要因を正確に把握し、有効な施策を的確にうつことである。

 なにか役立てることがあれば、ご用命ください。


情熱を胸にICON179

連絡先= t-fujii(atmark)pasiocorp.jp






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