2019年07月27日

「就職氷河期世代支援推進室(仮称)」が立ち上がる!

私が会社を創業したのは当時、若年者であった現在の「就職氷河期世代」の就職環境が非常に悪かった時期でした。
2003年9月29日。

その約3か月前に「経済財政運営と構造改革に関する基本方針 2003(骨太の方針)」で、おそらく初めて若年者の就労にスポットライトを当てた施策方針が示されました。今から振り返ると就職氷河期世代とされる年代の人たちは1990年代前半から生じていたことになっており、とりわけ1997年前後の構造的な経済低迷により、1999年から2002年頃の就職環境が最悪だったことを考慮すると、若干施策展開が遅れたという気もしますが、景気循環説に基づき、当時は私も含め、もう少し我慢すれば景気は回復すると信じていたので仕方ないかもしれません。まさかその景気低迷がリーマンショック後の停滞期も挟んで10年程度も続くとは思ってもいませんでした。

就職氷河期世代は、ロストジェネレーションとも言われ、「割を食った世代」や「不遇世代」ともされています。

2003年の6月に小泉純一郎内閣で発表された「骨太の方針」における若年者の雇用対策は次のように書かれていました。
少し長いですが、ペーストします。

(1)雇用制度改革
・今後の時代を担う若年者の人間力強化のため、「若者自立・挑戦プラン」を推進する。その際、地域、企業、若年者の状況に十分配慮する。
・若年者について、現下のフリーター、無業者の増大に対処し、職業人としての自覚の涵養・職業意欲の喚起を前提として地方自治体、学校、民間団体、民間事業者との密接な連携・協力の下に、複数紹介、トライアル雇用や就職支援相談員(ジョブ・サポーター)を活用した一対一の個別総合的な職業相談・紹介体制を整備する。
・企業ニーズ等労働市場の状況に応じ企業実習と教育・職業訓練を組み合わせた若年者への「実務・教育連結型人材育成システム(日本版デュアル・システム)」を導入する。
・全国一律的な制度から、地域の個性や自主性を活かした雇用促進策へ転換する。地域の新たな取組として、自治体と地域の企業、学校、ハローワーク、民間事業者等の連携の下、その実情に応じ若年者のためのワンストップ・センターを整備する。
・長期失業者に民間事業者を活用して集中的な就職相談、効果的な職業訓練・職業紹介等を行う。その成果に対する評価に基づく報酬等の誘因を付与する。また、労働市場の状況を反映しつつ個人の選択を機能させた職業訓練等を行う。
・労働市場の環境整備のため、キャリア・コンサルティングを担う人材の育成・活用や産業のニーズに応じた職業スキル標準・カリキュラムの策定、職業能力評価制度の整備等を進める。
・社会貢献活動やワークシェアリング等、多様な雇用・就業機会の提供等を推進するとともに、育児休業の取得推進や保育サービスの強化・充実など、子育てをしながら働ける環境整備を推進する。
・「男女共同参画社会」の実現を目指して、指導的地位に女性が占める割合が2020年までに少なくとも30%程度になるよう期待し、平成15年度においては、関連情報のワンストップ・サービス化、ネットワーク化など女性のチャレンジ支援策に取り組む。
・障害者の雇用・就業を促進するため、トライアル雇用、能力開発、在宅就業の支援等を進める。
・国民の求める安心の実現に向け、一元的に雇用や失業関連の情報を提供する。
・旧国立研究所など公務員型独立行政法人について、その業務の内容により非公務員型独立行政法人化を進める。

(2)雇用機会の創造
・サービス分野における規制改革や公的部門の外部委託の推進、情報提供、人材の育成支援、観光立国の実現及び休暇の取得促進・分散化等により、「530万人雇用創出プログラム」を着実に推進する。特に、サービスの生産を担う人材の質的強化は、サービスの品質や生産性を高め、競争力や付加価値の高いサービス産業の発展・創業を促進する上で重要である(具体的な対策例は別紙1参照)。
・公的サービスの外部委託を計画的に進め、NPO等を活用するほか、総合的な健康サービス産業、文化産業の創出などにより地域事業を創出する。
・「起業」による就業機会の拡大を図るため、ベンチャー企業向けの実践型就業実習の実施や創業・技術経営(MOT)の知識習得のための実効的カリキュラム・講座・ビジネス支援図書館の整備等により、総合的な事業化・市場化支援を推進する。また、創業塾を充実し若手経営者等による「第二創業」の支援を図る。
・大学における知的財産創出、大学発ベンチャー1000社計画や企業発(スピンオフ)ベンチャー支援等による研究開発型ベンチャーの創出、知的財産推進計画の推進、知的技術革新・産業集積の充実を一体的に推進する。このため、最低資本金制度の撤廃の恒久措置化、有限責任会社(LLC)・有限責任組合(LPS)の早期創設、全国レベルでの見本市の開催、起業化支援機能の強化、特許審査の迅速化、投資ファンドに対する支援策の改善等を行う。



若者自立・挑戦プランに基づいて、全国には「ジョブカフェ」といわれる若年者就業支援センターが設置され、私も会社として様々な関わりをもたせていただく中で、若年者就業支援に取り組んできました。

そうした施策の効果があったのか、なかったのか、2000年代前半から半ばにかけて集中的に行われた(リーマンショック後は雇用調整や基金訓練型の施策だった)そうした事業の対象だった世代は、15年ほど経った現在、アラフォー(40歳前後)となっており、いわゆる出産適齢期も終盤を迎えつつあり、第2次ベビーブーム世代とも重なる就職氷河期世代は期待された人口再生産もできないまま、時代だけが流れています。

この世代はバブル世代と、第2次安倍政権以後の景気回復期に初職についた世代との間に挟まれており、ちょうど中間管理職としての活躍も期待される時期にありますが、多くが非正規労働の道を歩まざるをえなかったため、社会全体の生産性にも少なからず影響があると思われます。

さらに40歳台の現在は顕在化していない問題として、「就職氷河期世代の老後」の悲惨さは容易に想像ができます。
無貯金、低年金の人たちが多くなるであろうし、また若年壮年期に様々な金銭的苦労をしてきた中で、健康状態も良いとはいえず、生活扶助や医療費増大の要因になると思われます。一つの試算では、生活保護費の増加だけで数兆円の財源が必要になると考えられています。

私はこうした問題が起きることを、約15年間に考え、一貫して政治・経済の様々な側面から、問題に現場で対処してきました。
2005年8月に上梓した「フリーターっていいの?悪いの?」という拙著に、次のように私は書いています。

フリーターが増加すれば、国家的には経済的損失が大きく、技術伝承の機会も減り、技術レベルの低下から長期的に見れば、社会生産性が低下するということが考えられる。また現在、最も世間を騒がしている話題の一つであろう社会保障問題についても懸念が深まる。


派遣会社は普通、就労企業に対して弱い立場にあることを考えれば、派遣社員は極めて不安定な生活基盤であると言えます。また、アルバイトやパートと比較した場合、時給は高いかもしれないが、事務職の場合、手取りで15万円程度です。預貯金は当然できないでしょう。結婚後、時間を有効に使うために派遣社員という雇用形態を選ぶならわかりますが、ほとんどの登録者はそうではありません。だいたいは未婚の20代後半女性です。
このように考えれば、派遣社員もフリーターと同様ではないでしょうか。一人の営業マンとして、登録者の生活を形成することも当然大切ですが、私は社会構造そのものを変革しないと根本的に解決できないと考え、フリーターを社会からなくすことを目的とした会社の設立を志してそれを前提に会社を退社しました。



2019年夏。
あの時から、もう16年が経ちます。
国は「就職氷河期世代支援」の集中対策を実施する方針を打ち出しました。
人口の再生産には間に合わないかもしれません。
しかし、この世代の幸福感の向上、そして社会全体の経済生産性の増大や、社会保障制度の維持のためには、遅すぎることはありません。
しかしながら実質的にこれが最後のチャンスになるかもしれません。この世代が自立したキャリア形成をしていくためには、50代になってからでは遅い気がします。アラフォーである今、そしてテクノロジーの進展による求められるスキルセットの変化が生じようとしている今であるならば、まだ間に合うかもしれません。

私は今年、多くのものを犠牲にして、単身東京へ来ました。
この就職氷河期世代対策に、少しでも政策立案の場面で関わりたいと思ったからです。
それができるかもわかりません。しかし意思があればきっと道は開かれると信じ、当事者である自分自身の信念を貫き、誰よりもこの問題を考えてきたという自負を抱いて、今しばらくチャレンジをしたいと思っています。


情熱を胸にICON179

  
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