2019年10月06日

年齢が上がると学習スキルは下がるのか?



 就職氷河期世代活躍対策に関連して、年齢が上がると学習スキルが下がるので、40歳を過ぎてもあまり教育訓練は意味がないんじゃないだろうかという意見をよく聞くことがあります。

 私自身は今年で41歳になりますが、これまで同様に好奇心旺盛で、学習意欲が高い為、そのような仮説・疑問に対して否定的なのですが、実際にデータで見てみたいと思い、大学院研究論文の執筆の際にとった調査データ(マクロミルに委託して20歳~45歳の働く男女に対する無作為抽出調査)を用いて、実際はどうなのかを分析してみました。

年齢が上がると学習スキルは下がるのか?

 学習スキルは、楠見孝先生(京都大学教育学研究科教授)のモデルを用いて、挑戦心(探究心)、柔軟性、評価志向(周りの目をどれくらい気にするか)、批判的思考力(クリティカルシンキング)の4指標を用いました。

 分析の結果はグラフにある通りですが、年齢が上がると柔軟性が若干下がり、20代前半→20代後半以降は批判的思考力に差があるように感じられます。
 さらに回帰分析で、それぞれ年齢が各要素に影響を与えているのかを調べてみました。下図です。

年齢が上がると学習スキルは下がるのか?

 見ると、柔軟性と評価志向性が影響を与えている(統計的に有意)ことが分かりました。
 また別に学歴(中学卒、高校卒、短大・専門学校卒、大卒の4区分)が影響を与えているのかも分析しましたが、学歴は批判的思考力のみに有意に影響を与えていることが分かりました。

 
 これらの分析結果からわかることは、確かに年齢が上るほど、「柔軟性」が下がり、自分の考えに固執する傾向があるように思われます。また評価志向性も年齢が上る程、高まるので、年長になる程、周囲の目が気になるということも言えるようです。さらに高学歴なほど、自分や現象を客観視して、問題を批判的に捉えようとする傾向があるようです。

 最初の命題「年齢があがると学習スキルは下がるのか?」について。
 結果的に、柔軟性が下がるなどにより、学習スキルは下がるようです。
 しかしながら、自分の考えを年齢を重ねる上で積んでいくので、これは当たり前と言えば、当たり前。
 この前提に立って、どのように各人が成長意欲を維持していくのか、また労働政策においても能力開発の観点からも、成長を促していくのかが重要になってくると考えられます。

 そしてもう一つ言えるのは、年齢が上がっても知的探究心や挑戦心はそんなに下がらないという事実(データ的には)です。能力開発機会さえ与えられれば、きっとどんなポジションであったとしても挑戦する気持ちは湧いてくると思います。その挑戦心をそいでいるのは外的要因かもしれません。就職氷河期世代にとっては、非正規歴が長かったからという理由で、能力開発機会が限られてきた人もけっこう多くいます。そうした人に、成長の機会を与えることは大切だと考えます。

 




 
         





この記事へのコメント
何事にもチャレンジ精神が必要なのですね。いくつになっても好奇心が大事ですね。
山崎
Posted by guildguild at 2019年10月06日 22:31
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