1999年3月17日の日記(6)

藤井哲也

2007年07月31日 07:18


そこまでの道程は思わぬことで困難を極めることとなった。

寺を出て少し歩いているうちに例のごとく方向が分からなくなってしまい、

道を尋ねる事にしたのであるが、道を聞いた人が八百屋の方であった。


道を教えてくださり、そちらに足を向けえようとすると密柑とバナナを

5つずつくらい接待としてくださったのである。なにしろ、この手荷物は

かなりのおもさである。食べながら進んでも一向になくなる気配がないので

肩にかかる重量は一気に増していった。

また密柑の種も厄介であった。そして食べながら進んでいたのですこぶる

歩くスピードが低下していき七十番につくのにかなりの時間を要すことになった。


大きな橋を渡り、鳥居をくぐると広い寺が存在する。遠くからもそれとわかる

ほである。第七十番本山寺。




この寺は国宝があってたいそう建築も見所があってよい。

納経の時間一杯であったのでそちらに先に足を向けてとりあえず納経を

おわらせた。経の日程も終わりだったので、その広い境内を少し見て回る

ことにした。とにかく広広としていい感じである。河の側にあるためか

独特のあのなんともいえない雰囲気をもっているし、重厚感溢れる境内の

建物が目に付く。遍路の人以外の人が見るならば、この景観は殺伐と

映ってしまうかもしれない。それほど配置も建造物も洗練されていて、

普遍性を持ち合わせている。

                                情熱を胸に

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