2009年07月06日

どんなに良い人事施策でも、社員に認知されなければ意味がない



おはようございますicon01

京都では祇園祭が近づいてきました。夏本番です。



今回は、表題のものですが、これはナナコーポレート様が運営している総務SOSに

寄稿している6月号の記事です。

そのまま転載します。

---

前回のコラムにて総務スタッフの方による分析の重要性について取り上げましたが、

それでは具体的にどのような対策を講じていけば最も効率的に若手社員の定着率を

高めることができるのでしょうか?


■ 定着率アップのための人事施策

現在、定着率及びそれにつながるもの(従業員の勤続年数、欠勤率の低さ、退職

意思の低さ)と関係する人事施策は下記の9つに分類されます。(※青山学院大学

の山本寛教授がまとめたものを一部修正)


 (1) 雇用管理施策 

  a 採用: きちんと事実を伝えられていてミスマッチがない採用活動ができているか

  b 配置: 本人の適性などを考えた上で配置配属ができているか

  c 昇進: 能力向上や業績、同僚との関係を考慮して昇進が行えているか

  d 退職: 退職金制度があったり、退職者へのフォローができているか

  e 長期雇用保証: 会社業績が悪くなればすぐにリストラされるようなことがない

 (2) 報酬管理: 世間並み以上の給与等が与えられているか

 (3) 業績管理: 個々人やチームとしての業績を評価できているか

 (4) 能力開発管理: 能力開発を会社として支援できているか

 (5) 労働時間管理: 私生活とのバランスが保てているか

 (6) 従業員参加: 権限委譲が進んでいて、会社の経営に従業員が参加できているか

 (7) 福利厚生: 福利厚生が充実しているか

 (8) 職務設計: より高いスキルや責任を要する仕事を与えられているか

 (9) キャリア開発: 個々人の将来の方向性に合わせた働き方ができるかどうか


次回以降、より詳細な対策については書いていきたいと思いますが、上記のような対策

をすべて取れるという企業は日本を代表する大手企業でしか難しいのではないかと思

います。私が支援させていただいている企業では、上記すべてに取り組もうといえば

その場で怒られて帰らされてしまうかもしれません。



現実的な方法としては、その会社にある経営資源(人、モノ、カネ、情報、時間)を有効に

活用し、「これに取り組めば大きく効果がある!」という勘所を掴み、最大効果を見込める

対策を行うことになります。


■ 人事施策の実施に不可欠な2つのポイントとは

そうした対策をとる前に知っておいて頂きたいことは、いくら対策にお金と人員をかけて

実施したとしても、「社員に認知されなければ意味がない」ということです。

新聞に載っている対策やウェブサイトで集めてきた他社事例をそのまま実施したとしても

効果がでにくいのは、そうした観点が抜けているからです。イメージとしては下記の

ようなものです。


                     (図を掲載)



当たり前といえば当たり前なのですが、一般的に捉えられているイメージとしては、


                     (図を掲載)


として捉えられているのではないかと思います。



では、いかにして社員に対策を認知させるのかといえば、重要な要素は2つあります。


「上司のリーダーシップ、マネジメント力」

そして、

「トップの考え方が伝わりやすい組織文化・風土」です。



現場の上司がしっかりと部下や新人に会社が考えていることを伝えたり、

人事施策をうまく動かすための能力ややる気を持っていなければ意味があり

ません。たとえば、人事評価システムを新しく導入したとしても、それをうまく

運用し、人事考課をする上司がそのシステムを使いこなせなければ意味が

ありません。または、コミュニケーションを活性化しようと思っても上司が寡黙で

他人と話したがらなかったり、部下とうまくコミュニケーションをとることができなけ

れば、そうしたコミュニケーション活性化策も機能しないでしょう。やはり上司の

役割は大きいといわざるを得ません。上司の適性をうまくつかんで人事施策と

組み合わせて配置していく、能力開発していく、上司の人事施策への理解を深め、

モチベーションを高めていくということが求められるのです。



そして、同時に「組織風土」も問題となります。

上司がしっかりとしていても、人事施策に対して諦めが出たり、新しい取組みに

後ろ向きな組織風土であればそうした対策は意味を持ちません。官僚的組織に

なればなるほど、新しいことに取り組むことをためらい、上司がしっかりとしていて

やる気であったとしても、取り組みが実現できないのです。


新しいことにチャレンジする風土というのは一朝一夕ではできない問題です。

しかしながら、組織変革には会社のトップ主導による意識変革が何よりも重要

です。人事施策をうまく機能させるためにはやはり現場の上司だけではなく、

組織風土をつかさどる経営トップの巻き込みが必要になってくるといわざるを

得ないでしょう。



そうしたものを充実させた上で、次のコラムでは上記9つの対策ここについて

説明を加えていきたいと思います。


------

総務SOSの記事についてはこちら



確かにどんな良い人事施策も従業員がそれを「良い」と知覚してもらわなければ

意味がありません。当たり前ですが、意外と忘れられています。


                                      情熱を胸にICON179






※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。