2011年07月08日

最近の「就職できる人の条件」(1)




今年も学生の就職活動がスタートする時期になってきました。
これからスタートする学生は平成25年春卒業予定の方になります。
まだまだ平成24年卒予定の方も活動中ですので、
がんばっていただきたいです。


さて、我が社パシオも新卒学生の就職支援ならびに、
キャリア職の職業紹介(人材紹介)事業もやっており、求人動向には
常に意識はしています。
ここ最近、本当に求人数が少なくなってきています。

企業がもうかっていないから採用手控えが続いているという向きもありますが、
少し違うようにも思います。なぜなら、ここ最近大手企業の内部留保は
高まりを見せつつあるからです。単純に、得た利益を人材採用や設備投資に
まわさなくなっており、将来の不安に対して内部留保にまわっています。


なぜ採用に経費がまわらないのかを考えることによって、「就職できる人の条件」
を考えてみたいと思います。



企業ではなく、もしあなたが大きな買い物をしたとしましょう。例えば家。
3000万円の家を借りるために、即金ですべてお金を出せれば問題なしでしょう。
でも私も含めてそんなお金を持っている若者は少ないでしょう。
銀行からお金を借りて(ローンを組んで)、家を買うことになります。

ローンで家を買った場合、3000万円では終りません。
金利が2.5%、30年間のローンだったとします。
すると金利だけで1267万円支払う必要があります。


問題は最近はデフレだということです。
デフレというのは物価が下がる現象のことです。
実は1991年から現在にいたるまで物価というのはほとんどあがっていません。
それはそれ物が安く変えるからいいではないかと思うかもしれません。
しかし一つ忘れてはいけないのは、あなたは家を2.5%のローンで
買ったという事実です。

買った家の価値はインフレならば、値上がりするでしょう。
バブル経済のときは「土地ころがし」といって、家を買って、ちょっと待ってから
転売することで物価上昇分の利益が出るという構造でした。
家の価値が経年劣化するとしてもそれを補ってあまりある物価上昇だったのです。

いまは、家を買えば、物価はあがっていませんので(逆に下がっている)、
経年劣化によりどんどんその家の価値は下がっていきます。
もしあなたがローンをはらえなくなったとすれば、家を売ればいいと思うでしょうが、
その時は非常に安くでしか家を売却することができません。あなたが家を売れば
借金だけが残ってしまいます。

デフレ経済下では、「物」をもつことがリスクになります。
「お金」を持っていることの方が得なのです。

物価がドンドン下がっているので、いま高い買い物をするよりも、
来年買い物をする方が(同じ物でも価格が下がっているので)
”得である”ということになります。



企業が採用を手控えする理由の一つもここにあると思われます。
人材を一人採用することは、
採用経費(一人当たり数百万円)+人件費(毎月25万円×勤続月数)
+教育費+光熱費や物件費等 がかかることになります。

非常に高い買い物です。ほとんど教育や光熱費にお金を使わなかったとして、
採用にも、ほとんどお金を使わなかったとし、人件費だけとしても
3年間で必要な経費は1000万円ほどになります。


企業にとってもデフレ経済下では、一個人の「家」を買うのと同じ心理が
働きます。つまり今たかい買いモノをするよりも、
来年、買う方が得なのではないかと。

また雇用では、物と同様に、売却して”負け”を少なくするということが
できません。1年間で退職してしまえば、かかった経費というのは、
回収できず、そのまま掛け捨てしてしまうことになります。

「人財」とはいいながらも、人が持っている価値というのは企業に所属している
わけではなく雇用契約によって労働力を提供するに過ぎません。


企業がそれでも採用しようとするのは、
・ 「給与分は稼いでくれること」
・ 「教育にかけた投資以上に伸びる潜在力を持っていること」
ということがあるはずです。


3年間で3000万円もかかる買い物なので企業にとっては躊躇するのは
仕方ありません。粗利益3000万円を稼がなければその新人一人の
人件費をまかなえないのです。

そうなると、やはり自分の給与分の粗利益(売上-原価)は稼げること
というのは最低限必要な気がします。新卒の求人数が減っているのは、
単純に新人では「即戦力」になりにくいため、自分の給与分の利益を
あげられることが少ないからです。育てる余力を持つ大手、中堅企業は
計画的に採用しなければ諸々事情でならないので、採用します。
しかしその数も減らさざるを得ないでしょうし、中小企業の新卒への
採用意欲は本当に減退しているのはそうした理由からです。
いまは本当に物が売れない時代です。「ぽっ」と出の若者がモノを売って
給与分の粗利益を上げるのは以前に比べて困難です。

(続く)


                              情熱を胸にICON179







Posted by 藤井哲也 at 21:36│Comments(0)情熱(私の思い)
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