2017年11月14日

「批判的思考力を育むー学士力と社会人基礎力の基盤形成」(楠見孝、子安増生、道田泰司編,2011)



 経済産業省(2007)は社会人基礎力として、3つの能力(前に踏み出す力、考え抜く力、チームで働く力)と12の能力要素(考え抜く力では、課題発見力、計画力、創造力など)をあげている。これらは、学士力と重なる部分がある。一方で、思考分野における能力やスキルの階層を考えると、より基礎的な論理的思考や批判的思考は強調されておらず、実践的な課題解決に重点が置かれている。社会人基礎力が、社会人としての基礎力として身につけておいてほしいミニマムな能力なのであれば、より基礎的で測定可能なスキルや能力として定義しないと、その育成や成果の評価は難しいと考える。(p19)

批判的思考態度テスト(平山・楠見 2004)
 後述する廣岡ら(2001)の批判的思考志向性テスト、サー(1999)、スタノヴィッチとウェスト(1997、1998)で使用された柔軟性思考尺度、および独断主義尺度をもとに筆者らが調査を実施し、項目を選定した。そしてさらに、川島(1999)をもとに項目を加え、再び調査を実施し構成されたテストであり、次の4因子で構成されている。実際の項目は表6−2に示された33項目であるが、このうちの18項目のみを用いての調査も行われている。
 この批判的思考態度テストは、20代から60代の一般市民1500人に調査を実施したところ、最終学歴による得点差が見られた。最終学歴が大学院であるものが最も得点が高く、次いで大学が高かった。そして中学、高校、専門学校の間には差が見られなかった。また、食品リスクリテラシーの構造について検討したところ、情報収集や科学リテラシーとの関係が見られた(楠見、平山2009)また、結論導出プロセスにおいては、確証バイアスや信念バイアスを避け、自分の信念と矛盾した情報を受け入れることができるかに対しえ、批判的思考態度の「探究心」の影響が見られた。(平山・楠見2004)
p127−129
※廣岡(2001)「クリティカルシンキングに対する志向性の測定に関する探索的研究」(三重大学教育実践総合センター紀要21) 
※サー(1999)「the domain specificity and generality of belief bias: Searching for a generalizable critical thinking skill.」
※スタノヴィッチとウェスト(1997、1998)「Reasoning independently of prior belief and individual differences in actively open-mind thinking.」
※川島(1999)「柔軟な思考態度と表現態度を促す授業の実践ー高校国語科における心の教育」(兵庫教育大学大学院修士論文)
※平山・楠見2004 「批判的思考を支える態度および能力測定に関する展望」(京都大学大学院教育学研究科紀要50)
           「批判的思考態度が結論導出プロセスに及ぼす影響」(教育心理学研究52)



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Posted by 藤井哲也 at 23:00│Comments(0)書籍備忘録
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