2008年05月14日

年長フリーター(いわゆる“おっさんフリーター”)について

先日急に舛添厚生労働大臣が「年長フリーター」問題について早急な取組みが

必要であるという趣旨の話をされました。

「年長フリーター」とは、就職氷河期に就職ができないまま、この場合は

やむおえず正社員として採用されなかった人や、いったんモラトリアム的に

就職しなかった人、夢を追って就職せず自分なりの道を考えた人などが

当てはまると思うのですが、そうした人がここ10年間でうまくキャリア形成、

(キャリア形成という言葉自体なぜか違和感を感じるので個人的には

職業経験といっていますが)をしてこれなかったため、特別な職務

遂行能力や専門的技能・知識をもっていないので、知識を必要とする

業務につくことができずに単純作業に従事しながら、たとえば

日雇い労働をしたり、派遣社員としてその日暮らしをしたりして

いる現状が20代最後半から40台前半の世代にかけて広がってきている

という状況があります。

2003年に会社を立ち上げた際にこうした危機について非常に

思うところがあり、活動を続けてきたのですが、その危惧が

まさに現実のものとなってきているように思います。

いま活動しなければ、これから取り返しのつかないことに

なってくることにようやく国も気付き始めて行動し始めている

ように思いますが、これは早急に取り組んでいかねばならないと

問題と思います。

2004年当時、私がいろいろな方からお話を聞いてまとめた書

「フリーターっていいの?悪いの?」には現在は

“おっさんフリーター”は存在していない。それはフリーターを

蔑視するための世代間闘争であると書いていますが、

おっさんの中にもフリーターは存在してくるようになってきた

昨今にあっては、もはやどうしようない問題になってきています。



当時からずっと思ってきたのですが、問題としては

フリーターを減らすことではなく、国民全体の職業能力を

高めていくことであり、いかに就職させるのではなく、

継続的な職業経験を積んでいけるように整備していくこと

にあると考えています。



断崖の世代と私はロストジェネレーションを呼んでいますが、

まさにこの世代にとってはこれからの20年、30年はきつい

人生になってくるでしょうし、その後の老後はさらに厳しい

現実が迫ってくると思います。断崖絶壁にまさに立ち、

自死する人も多く出てくると思います。

70歳以上の人からこれ以上負担を高めるのではなく、

現在の若年労働者の生産性をいかに継続的に磨き上げていき、

そして生産性を向上させ、税収を高めていくのかがいまとるべき

政策であるよう思いますが、フリーターが少なくなり、

そして就業環境が一気に好転した現在は、若年者対策に

ついてはほとんど語られることがなくなってきました。

後期高齢者の方をはじめ、こうした人に不安を与える社会を

見て育つ現在の団塊世代や現在の若年層はどのように

思ってこれから未来に希望をもち働いていくのでしょうか。


いまとる若年層の労働問題の対策は2つであり、

一つは「継続的で一貫性ある職業能力・経験のつみあげを

国家として推奨し、認め、そしてインセンティブを与えること」であり、

二つ目は「ハローワークを民営化し、職業紹介をもっと

活性化させること、もっと多くの情報を求職者に開示すること、

もっと多くの求人情報を自由に掲載できるようにすること」です。

求人情報の掲載には非常に制限があります。中小企業や

零細企業にとっては採用が困難な状況に変わりませんが、

年長フリーターでも採用したいと考えている企業が多くありますが

そうしたニーズをハローワークでは吸い上げられていません。

といいますか、制限に引っかかって掲載されていません。


ハローワークで働く人たちの無能ぶりには驚くことが多いですが

彼ら彼女らよりも、年長フリーターの方がよほど、安い給料で

ハイパフォーマンスに働くことと思います。



私が考える第1の施策については、ジョブカードなどを現在普及

させようと考えていることからも継続的なキャリア形成を考えて

いるようですが、若年者には普及しないでしょう。それは

そのようにするメリットを若年者が感じないからです。

ジョブカードを持っていても何も得るものはありません。

単に手間になるだけであり、民間企業にとっても正直、

なんの判断材料にもなりません。若年層のモチベーションが

沸かないものを無理やりさせようとしているのであれば、

きっとそれは普及するものではないでしょう。やはり

金銭または非金銭かもしれませんが、インセンティブが必要

となってくるはずです。


私にはなぜこの問題について国が本腰をあげて取り組まないのかが

不思議です。

いま取り組まなければきっとこの断崖の世代は悲惨な老後を

送ることが目に見えているのですが。


                               情熱を胸にICON179
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