2008年11月03日

景気の後退と早期離職の関連性

いま内定辞退が相次いでおきているという。

やむを得ず内定取り消しをする企業が出てくるのはこの状況下では

仕方がないだろう。法律で言えばきっとやむを得ない理由ということで

許される範囲ではないかと個人的には思う。


とはいうものの実際に内定を取り消された本人にしてみれば、

たまったものではない。ありえない話だろう。今から就職活動を始めたところで

採用活動を継続している会社も少ないだろうし、景気の後退によって

採用活動を縮小している会社も多くなってきている。


これから一時的に新卒や若者の就職状況は下降線を辿っているのは

ほぼ確実である。厳選志向を強める会社がバブル崩壊以後多くなってきて、

自分の可能性を信じる若者と、厳選志向で即戦力を求める企業のギャップは

フリーターを生み出し、早期離職を生み出してきた。


これからの雇用の状態はどのようになっていくのだろうか。個人的に考えてみた。

下図は「早期離職率」と「有効求人倍率」と「日経平均株価」をグラフにしたもので、

1987年を基準(100)として、その後どのような上昇下降を辿ってきたのかを

あらわしたものである。

景気の後退と早期離職の関連性

87年~94年頃までは株価のみバブル期には高くはなっているが、

株価と有効求人倍率は同じような曲線を描いて動いていることがわかる。

早期離職率も若干下降しており、好景気に雇用がうまれ、そして自分の

なりたい仕事に就職できていたということがわかるし、まだ日本型の

終身雇用、年功序列、企業内労働組合というものが残っていたこともあり、

それほど早期離職率には大きな変化がなかった。



しかしながら、94年以後は大きく変動している。

経営の効率化が求められ、リストラが終了したと考えられる97年ごろまでは

有効求人倍率は株価の下落以上に大きく低下しているが、

97年以降はほぼ連動する形で動いている。

そうした動きと早期離職率はほぼ相対関係にあるように見える。

つまり不景気になれば雇用が収縮し、早期離職率が高まるという傾向だ。


あわせて01年以降に本格化したとされるインターネットを用いた求人活動の

普及により、認識ミスマッチや求人情報発信力格差が生じ、また第2新卒市場と

いわれる市場が形成されつつある中で、早期離職によるリスクが以前に比較して

格段に低くなり、早期離職率は高止まりしていることがわかる。




こうした状況を見て、これからの10年、11年ころまでの早期離職率は、

横ばいか、いまよりも少し悪くなる可能性もあると読んでいる。

しかも1~3年程度は雇用が低調になることから、この時期に入社した

若手社員は、本来自分がなりたかった職業や会社ではない可能性も

高く、ある程度景気が落ち着き、求人倍率が高まってきた時期には

早期離職率は一時的に上昇する可能性が高いと思う。



中小企業にとっては、不景気時に無理して優秀な新卒を採用するよりも、

自社にあった中途社員を積極採用すべきであろうと考える。しかし

中小企業やベンチャー企業にとっては10年に1回とあるかないかの

優秀な人材を確保できる時期に差し掛かってきているとも言える。



この時期にこそ景気拡大期の成長の芽となる優秀な若手人材を

採用し、ミスマッチから来る早期離職を予防し、育成していくことで

一気に事業を大きくしていける。




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                               情熱を胸にICON179



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