2008年11月09日

『リテンション』とは何なのか?

企業の持続的成長にとって、当然ながらトップマネジメントによるすぐれた

リーダーシップと方向性、経営戦略と決断が必要であるが、同時にそうした

戦略をまわすためのすぐれた現場も必要である。現場が機能するかしないかは

大きく早期離職ならびに離職が影響を与えていることはすることはすでに

述べた。


リテンションマネジメントはいま重要であり、そしてこれから取り組むべき

重要な人事施策である。ここまで私のブログを読んでくださっている方であれば

リテンションとはなにか、ということをあらためて説明する必要もないが、

あらためて、そもそもに還り、リテンションとは何かについて書いておきたい。



 (1)リテンションはテンションとは関係ない

はじめて「リテンション」という言葉を聞いた方は「テンション」を想起する

かもしれません。テンションとなにかしら関係するもの、テンションを“Re”、

つまりテンションを“戻す”ものとして考える方も多いかと思います。しかし

ながらリテンションはテンションとはほぼ関係ありません。


リテンションとは英語で記載すれば「Retention」となり、英動詞の「Retain」

の名詞形である。Retainは日本語で言えば、「維持する、または保持する」

というものであり、その名詞形であることからRetentionは「維持、または

保持」ということとなる。


リテンションというものが最も取り入れられているのが、マーケティングの

世界である。お客様をいかにしてリテンションしていくのかというときに用い

られてきた。言葉としては「カスタマーリテンションマーケティング」である。


こうしたリテンションという発想が社員に対して向けられるようになってきた。

CS(カスタマーサティスファクション)を向上させるためにはES(エンプロイ

サティスファクション)を高めていかねばならないという流れもそうであるが、

リテンション自体が企業の存亡をかけた重要なテーマとなってきている

からでもある。


(2)リテンションが求められる昨今の社会的背景

リテンションが求められるようになってきた背景は、1990年代にアメリカで

起こったいわゆる「War for Talent(ウォーフォータレント)」というものが

起源である。優秀な人材をめぐる採用・獲得競争は熾烈を極め、その

対象者である優秀な人材(talent)は、より良い環境や処遇などを求めて

会社を渡り歩いた。企業にとっては優秀な人材をひきつけることも重要

となったが、せっかく苦労して採用した優秀な人材を辞めさせないための

取組みも始められた。これがリテンションマネジメントである。


このWar for Talent は、経済のグローバル化、知識マネジメント革命の

進展があいまっておこった現象であり、サービス産業が大きな比重を

占める現代においてはその知識労働者(ドラッカーはテクノロジストと

呼んだ)と知識を持たない者との格差が増していく一方であり、経済の

グローバル化によって知識を持たない労働者は淘汰されるにいたった。

優秀な人材は、高度な知識、技術を持ち、常に学習する性質を持った

人たちである。そうした人たちは社会の中では希少価値が徐々に高まり、

1990年代の効率的な経営を求める流れの中でWar for Talentが

生まれたのである。


日本にもこうした潮流は10年遅れて到来した。1990年代初頭のバブル

経済崩壊によって長らく低迷にあえいだ社会の中で会社はリストラを進めた。

生産性を持たないが年功序列型人事制度の中で仕事に従事してきた

中高年齢者の早期退職勧奨、一般事務職などのコアコンピタンスから外れる

労働者の非正規労働化、製造現場の柔軟な環境変化に対応するための

アウトソーシング化、厳選採用などがこれにあたる。失われた10年といわれる

1990年代半ばからの10年間で多くの中高年齢者が職場を去り、

低い知識しか持たなくてもいい労働者の能力開発機会は減り、

新人の採用手控えから優秀な人材は絶対数自体が少なくなっている。


優秀な人材をめぐる採用獲得競争は日本では、いわゆる2007年問題と

若年労働人口減少が大きな引き金となって加速しているようである。

企業が求める人材は求人媒体では集まりにくくなってきており、

ハローワークへの求人案件掲載の規制強化によってハローワークを

通じた採用ルートも手詰まり感が出てきた。大都市圏(東京、名古屋、大阪)

においては、若年労働者もしくは会社の幹部候補となりうる優秀な人材は

確保できない状態がここ数年間続いており、採用手法の見直しと同時に

既存・新規で入った優秀な社員の離職予防対策が重要な課題となって

きたのである。


 

 ようこそリテンションマネジメントのパシオへ

 http://www.pasiocorp.jp


                                 情熱を胸にICON179





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